燃えよ剣65

襲撃軍艦回天は闇のなかで錨をあげ、汽罐を低速運転し、襲撃すべき宮古湾にむかってひそかに洋上をすべりはじめた。刺客に似ている。艦橋に歳三がいた...

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燃えよ剣66

再会歳三は癇症《かんしよう》な男で、一日のうちで何度か乗馬用の長靴をぬぐう。馬丁の沢忠助が、「あっしに磨かせとくンなさい」とたのんでも、歳三...

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燃えよ剣67

官 軍 上 陸官軍艦隊、輸送船団が、江差の沖合にあらわれたころ、歳三はなおお雪の体を抱いてベッドのなかにいた。お雪のまげは、毛布のうえですっ...

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燃えよ剣68

五稜郭歳三は函館政府軍における唯一の常勝将軍であった。この男がわずか一個大隊でまもっていた二股の嶮は、十数日にわたって微塵もゆるがず、押しよ...

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燃えよ剣69

砲煙その夜、亡霊を見た。五月九日の夜五ツ、晴夜だった。歳三は戦闘からもどって、五稜郭本営の自室にいた。ふと気配《けはい》に気づき、寝台から降...

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