福島県立医科大学で、震災と原発事故の影響で延期されていた新年度の授業が、９日から始まり、震災を経験した学生たちはそれぞれの思いを胸に医師を志す決意を新たにしていました。
福島県内で唯一医学部のある福島県立医科大学では、先月上旬に始まる予定だった新年度の授業が、震災と原発事故の影響で１か月近く延期され、９日から始まりました。このうち、付属病院で行われた実習では、原発事故のあと病院内で緊急被ばく医療体制の整備に当たっていた放射線科の宍戸文男教授が、学生に対し「この１か月で医療関係者にも放射線の知識が十分でない人が多いと感じた。必要な知識をしっかり教えたいと思う」と話しました。実習に参加した６年生の辻未来さんは「よい機会だと思ってしっかり学びたい。誤った情報が混乱を生んでいると思うので、まずは自分自身が正しい情報を選び取れるようになりたい」と話していました。また、４年生を対象にした授業の説明会では、阪神?淡路大震災を経験したという後藤満一教授が「福島は今、とても厳しい状況にありますが、人はこうした経験のなかでも立ち直り、ひと回り大きく成長していくものです。この経験をいかにプラスにできるかは、君たちの考え方しだいだと思う」と話しました。説明会に参加した下山輝義さんは、小児科医希望で、この間、福島市の避難所で子どもたちを支援するボランティア活動をしてきました。下山さんは「子どもたちにストレスを発散する機会を与えられたと思うが、厳しい状況のなか、悩んでいるのだろうとも感じた。この経験は将来必ず生きるだろうし、生かさなければいけないと思う」と話し、震災の経験を踏まえて医師を志す決意を新たにしていました。
