アメリカのオバマ大統領は、与野党の間で最大の焦点となっていた年末に期限切れを迎える大型減税の延長について、これまで反対していた富裕層向けの減税の延長を、野党共和党の主張を一部取り入れて２年間認めることで共和党側と合意したと発表しました。
オバマ大統領は６日、声明を発表し、年末に期限切れを迎える大型減税について、みずから求めていた中間所得者層向けの減税に加えて、富裕層向けの減税も延長すべきだとする共和党の主張を一部受け入れ、いずれも２年間延長することで、共和党と合意したことを明らかにしました。一方の共和党側も、オバマ政権の主張を取り入れ失業保険の給付の延長を認めるということです。オバマ大統領は、財政赤字の拡大につながるとして、これまで反対してきた富裕層向けの減税の延長を容認する理由として、「政治的な争いによって、国民が不利益を被ったり、景気後退からようやく抜け出そうとしているアメリカ経済が再び悪化するようなことはできない」と説明し、理解を求めました。アメリカでは失業率が９．８％に悪化するなど、景気低迷が長期化しており、オバマ大統領としては、景気回復を妨げないためには、共和党とのある程度の妥協もやむをえないという判断があったものとみられます。しかし、身内である民主党議員からは早くも「譲歩しすぎだ」などと反発の声が上がっており、議会での法案審議の行方が注目されます。
